読書「後世」

今日は芥川龍之介の命日,河童忌。

河童忌に読むものと言ったら,やはり「後世」一択ではないでしょうか。 

後世

後世

 

 時々私は廿年の後、或は五十年の後、或は更に百年の後、私の存在さへ知らない時代が来ると云ふ事を想像する。その時私の作品集は、堆うづだかい埃に埋もれて、神田あたりの古本屋の棚の隅に、空しく読者を待つてゐる事であらう。いや、事によつたらどこかの図書館に、たつた一冊残つた儘、無残な紙魚しみの餌となつて、文字さへ読めないやうに破れ果てゝゐるかも知れない。しかし――

私はしかしと思ふ。

しかし誰かゞ偶然私の作品集を見つけ出して、その中の短い一篇を、或は其一篇の中の何行かを読むと云ふ事がないであらうか。更に虫の好い望みを云へば、その一篇なり何行かなりが、私の知らない未来の読者に、多少にもせよ美しい夢を見せるといふ事がないであらうか。

この「後世」を読みながら,文豪の生涯に思いを馳せてみるのもおつではないかなと思いました。折しも芥川賞でいろいろ賑わっていることですし,週末は芥川文学三昧でいいかもしれません。

うなぎを食べながら芥川とか最高かも!