ペン

 うちの両親は,勉強しろとか言ったことが全然なくて,成績についてもそれほど気にしていなかったように思う。よい成績をとれば喜んでくれたけど,大学とかも行きたいところに行けばいいという程度で,両親から勉強関係で何かを強制されたことは一度もなかった。

そんな両親なのだけど,何故か節目節目には高価な筆記用具をくれた。中学生になったときは,当時の中学生には不相応な万年筆(といっても1万円程度のものではあったと思うけど)をくれた。その後も,節目節目で筆記用具をもらった。もしかしたら,いつまでも勉強が好きであってほしい,という,勉強のことに対してはほとんど何も言わない両親の唯一の勉強に対する気持ちの現れだったのかも知れないと思う。

大学院に進学した時も,やはり上品な三色ボールペンをくれた。在学中大切に使っていたのだけど,引っ越しの時になぜかペン軸を失くしてしまった。

院を卒業して資格試験を受けるにあたり,中学生の時もらった万年筆で受験していると話したら,父はそれはそれは高価な万年筆を買ってくれた。いつも使っているものよりペン先が太くて,とても上質な万年筆なのに数回使って,元の万年筆に戻ってしまったのだけど。

その万年筆を使わなくなってそろそろ3年が経とうとしている。ペン軸を失くしてしまった三色ボールペンもそのまま。

今の生活にはとても満足しているのだけれど,最近なんだかのんびりしすぎているなーと思って机の整理を始めたらしまいこんでいたこれらのペンを見つけた。

並べてみたら,だいぶ使ってなくてなんだかとっても申し訳ない気持ちに。

ペンを使わなくなったのと同じくらい頭も使わなくなってた。

思う所あり,久しぶりに勉強を再開しようと思います。その前に,まずは,無くしたペン軸を注文することから始めようと思います。