読書「パラドックス13」

 

 

パラドックス13 (講談社文庫)

パラドックス13 (講談社文庫)

 

パラドックス13はぐいぐい読ませる感じでした。以下ネタバレになります。

最終の話,反対する感想もだいぶありましたが,本来であればパラドックスが起こる際に死んでいたので,パラドックス13によって,過酷な状況ではあるけれど猶予が与えられ,弟と心を通わせることが出来,さらに愛する女性を救うことが出来たという点において,彼にとってはハッピーエンドといえるのではないかと思いました。

一番のハッピーエンドは生きて,揺り戻しを利用して元の世界に戻れるということなんでしょうけれど,自分としては悪く無かったです。

 

パラドックス13を読んで,昔見たテレビドラマを思い出したのですが,高校生かなにかがタイムトリップで戦国時代かなにかに飛ばされる話です。(信長協奏曲でも幕末高校生でもありません。)

飛ばされたところで人が襲われていたけれど,いきなり人が現れたことによって,その襲われてた若者は無事助かる。飛ばされた主人公は携帯かデジカメの写真を駆使しつつ,何度か窮地を切り抜けます。最後デジカメかなにかで記念撮影をする(その後電池が切れた気が)。主人公は若者たちに見送られて無事元の時代に帰り,めでたくハッピーエンド。

・・・・にはならず,若者は,主人公が去った後,女性を助けるか見送ったかしたところで,結局命を落とす。でも,女性を守るだかなんだかの目的は達成できたので,若者は晴れ晴れとした顔で,もともと本当は死んでいた命だった,けれど彼(主人公)が来たことで猶予が与えられたのだ,だから彼が帰ったことで元に戻ったのだ,ほんとうにありがたいことだ,みたいなこと言って亡くなる。

というのを思い出したんですが,これなんのドラマだったんだかが全く思い出せない。このドラマの話と,ちょっとだけ似てるかな~と思いました。

 

あとは,ゲーム「クロノ・クロス」のエンディングのリデルのセリフを思い出します。

リデルのいる世界では恋人のダリオはなくなっている,けれどもう一つの世界ではダリオが生きていて,リデルはもう一つの世界で行きている恋人に会う。けれど,また世界の行き来ができなくなるようになって(ゲームのエンディング)その時のリデルの言葉が,

「・・・・・・・・・。ありがとう。 あなたのおかげで、もうひとつだけ、ダリオとの思い出を得ることができました。」

というところ。

上のドラマの若者も,リデルも,自分の死,恋人の死を所与のものとして受け入れて,少しだけ長く生きられた,死んだ恋人ともう一度会えた,ことを感謝する姿が潔く,そして切なく,と印象深かったシーンでした。

タイムトリップものを読むと,この2つの話を必ず思い出し,なんだかいろいろと考えてしまいます。

タイムトリップものは,総じて切ないと思います。