読書「テロ」

読了。

すごい本だった。戯曲のような形式で、最後は2つの結末。憲法で習ったトロッコ問題をこんなの臨場感をもって考えることになるとはすごい。自分が参審員になったつもりで読んだけれど全く答えは出なかった。

検察官の主張

「つらいことではあります。憲法はわたしたちに多くのことを要求します。ときには耐えがたいこともあるでしょう。しかし憲法はわたしたちよりも賢いのです。わたしたちの感情,怒りや不安よりも賢いのです。わたしたちが憲法を,そして憲法の原則,人間の尊厳をいついかなる場合でも尊重する限り,わたしたちはテロの時代に自由な社会を存続できるのです。

わたしたちがあらゆる面で脅威にたたされ,わたしたちの国家が最大の危機に直面し,世界が崩壊の瀬戸際に立たされていることは確かです。しかしそうした状況だからこそ,わたしたちが法治国家の原則に信頼を置くことはますます大事になっています。当然,それは友情と同じです。調子のいい時だけの友情など意味がないのです。」

 

弁護人の主張

「テロリストが連邦憲法裁判所の判決を読むことになります。テロリストはどんな結論を出すでしょうか?『なるほど,人間の尊厳か。たしかにそのとおりだ。テロはやめておこう』などと考えると思いますか?テロリストは連邦憲法裁判所が定めたことを逆手にとるでしょう。できるだけ多くの無関係な人々が乗っている飛行機をハイジャックするはずです。私たちの上品な国家はテロリストになんら手をださないと保証されているからです。」

 どっちも正しく見えてしまう。

テロ

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