ゼンショー第三者委員会調査報告書
最近ごはんのことしか書いてないだめだめな覚書だったので、少し反省して、ゼンショーの第三者委員会調査報告書を読んだ感想などまとめてみたいと思います。
店舗運営だけでなく、ガバナンスの面でも適切な人員配置がなされず、複数の役割を1人が兼務しなければならない。体制を十分整えないままに、人の努力に過度に依存することで乗り切ろうとする「ワンオペ」の構図は、現場から上層部まで共通して覆っていた。
できる人に過度に依存するってダメな企業の典型ですね。あれ、なんかデジャヴ…。
事務局に知人の名前があって、ちょっと感動しました。頑張ってるなあ~。
コンプライアンス経営を実現するために 2008 年 12 月に設置されたコンプライアンス委員会は、2013 年 5 月以降、リスク管理委員会の開催と合わせて、四半期に 1回のペースで開催されていた。
両委員会は同じメンバーで構成され、2013 年 8 月以降は取締役グループ人事・総務本部長が委員長を務め、その他本社の本部長、部長あるいは GM クラスの役職者が委員を務めていた。両委員会においては、時折、労災に関する報告や議論が行われることはあったが、過重労働その他労働環境に関するリスクあるいは労務コンプライアンスに関する報告や議論がなされることはほとんど無かった。
調査報告書24ページ
恐ろしいのは、形式的には立派なコンプラ委員会、リスク管理委員会があったこと。コンプラ委員会、リスク管理委員会が機能しない例については、自分自身実感済です。機能しない原因としては、
①コンプライアンスを管轄する法務(とか経営層)がさぼってるか
②現場と法務(とか経営層)に深刻な軋轢があるか
③現場がそもそもリスクだと思っていない
っていうのが多そうな気がします。ゼンショーの場合は、経営層の認識が甘いってのが原因ぽいので①でしょうか。
自分の会社は立派なコンプラ委員会がある、リスク委員会がある、って安堵している会社も結構多そうなので、コンプラに携わる人はこの報告書は読んでおくのがよさそうです。
読んでて、うわー・・・っと思ったところ。
Q「あなたが 500 時間頑張れた理由は何か?」
A「自分は GM になりたいという目標があった。また、クルーも同じくらい働いていた」
Q「部下の仕事に対する姿勢や考え方はどうか?自分と比べても」
A「レベルが低いと思う。AM はもっと店を好きになってほしい。
今きっと嫌いなのだと思う」
自分が頑張れたことは他人も頑張れるという思い込み…こわい。
Q「牛すき鍋のマニュアルを見たが、設定されている時間内で作業を実施するのは至難と思われるが?」
A「(マニュアルの標準タイムとは、実は最速時間であるが)そこまでやってきたからこそ、どこでもできるようになる。それを今の若い人に教えたい」
Q「GM になるにはどんな資質が必要か?」
A「逃げない心」
「逃げない心」とか精神論で最後締めくくるとか…こわい。
経営幹部は、「24 時間、365 日営業」の維持や良い商品をできるだけ安く提供することが顧客のためになるという強い信念のもとで、すき家の運営にあたっており、顧客を最優先のステークホルダーとして意識していた。しかし、従業員(社員、クルー)が企業経営にとって不可欠のステークホルダーであるという意識はなかった。
この部分を読むと、なるほど、「すき家」というのはお客にとっては良いお店なのかなとも思います。ただ、忘れてはいけないのは、従業員や従業員の家族も消費者(顧客)であるということ。今の状況だと一度すき家で勤務をして離職した人やその関係者は、二度とすき家を使わないっていうことになってるんじゃないかと思います。その利益の損失って結構大きいんではないでしょうか。BtoCの企業は、従業員は従業員であると同時に最優先のステークスホルダーである顧客でもあるってことを忘れないでやっていかなくてはならないのではないかなーと。
すき家の例とは若干異なりますが、フォード・モーターの創始者のヘンリー・フォードは、「従業員が自社の車を買えるように賃金を引き上げ」て従業員を厚遇したそうです(Wikiより)。こういう精神が大切なのではないかと思ってます。
思ったことをつらつらとまとめてみました。
あれ…知財よりやっぱり法務のほうが面白い……?